令和3年度浜松市創造都市推進事業補助金「書を読んで、町に出よう」

ここ数年、文部科学省による国立大学人文系学部への大幅な予算削 減が話題にのぼっています。大学病院を持つ医学系や産業界と連携しやすい工学系と比較 すると、各大学の文系研究者は国立大学運営予算縮小を受け研究資金不足や発言力の低下 など不利な状況に置かれています(参考:小寺, 2016年12月5日, 日刊工業新聞)。また平成 22年に発表された「日本の展望-人文・社会科学からの提言」によれば「社会と切断され、 専門分化し閉鎖性を生み出している人文・社会科学それ自体について、人文・社会科学の 研究者は(中略)持続可能な未来社会を準備するための市民的教養の形成に向けて、真摯 な再検討を加えなければならない」とあり、人文学の立場からも社会との断絶性を危ぶむ 声が上がっています。このように、予算縮小により揺れる人文社会の研究基盤や進む文理 横断、「有用性/実用性」が問われ社会と人文学とが断絶してしまっているこの状況は、ま さに今向き合うべき社会問題です。また実際「人文学とは実用性の疑わしい、その存在す らも曖昧なものだ」というまなざしを、長きにわたる人文学の勉強と研究(哲学・芸術学 の勉強会の開催、ネット上での論文発表など)の中で常に感じてきました。社会的な生産性を重視する傾向の強い現代社会において、人文学にとっては自身の立場の存続そのもの が「社会問題」として課題になっています。

上記課題に対する解決案としての事業提案 人文学の実在性や生産性が問われそれゆえに社会の中で軽視されている現状に一石を投じるため、当団体は社会を人文学にとっての「実践の場」と捉え、さまざまな形の事業を通 じて人文学を取り巻く社会状況とその課題にアプローチすることを目的として発足されま した。本プロジェクトでは一貫したテーマとして「ぜんぶ、社会のせい」を掲げ、「人文 学」と「社会」との関わりを生み出しその関わりに気づいてもらえるような事業を行って いきます(このテーマは社会批判をするためのものではなく、議論を喚起し、人文学的な 意識を刺激するためのものです)。まちなかの複数の場所で人文学の場を開き、参加する 人たちにその力、その実在を実感してもらえるようなイベント、場を創設します。 浜松には人文学の力を信じ、そのために活動している人たち、場所が数多くあります。自 身の身銭を切りながら、文を書き、絵を描き、音楽を奏で、そのための場を自身で探し、 ときには作り出す人たち。またギャラリーの機能を併設したダイニングバー、営業時間外に勉強会やライブイベントを開催するカフェ、決して生活費を捻出しえない値段で場を提 供するライブハウス、本来の機能を拡張して文化イベントのために場を解放する銭湯な ど。そういった人や場所をスポットとし、本事業を通じてまちなかの各拠点・人と人を繋 ぐ仕組みをつくることで、浜松市の中心市街地に新しい賑わいを創出することにも繋げられると考えています。また浜松市民に限らずオンラインツールを並走させ遠方の方にも参 加してもらえるようにし、誰もが一度は感じたことがあるであろう『ぜんぶ、社会のせ い』をきっかけに議論の場を広げ「人文学」と「社会」との繋がりを実証する場とします。

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